論文 ·用例に日本語 ·未確認
薩隅方言の史的アスペクト体系の研究―ロシア資料と方言調査を中心に―
- crid
- 1040282257463923712
- kaken
- 10J01778
- jgn
- JP10J01778
- uri
- https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10J01778/
- URL
- https://cir.nii.ac.jp/crid/1040282257463923712
要旨
本研究の目的は、アスペクト体系、特に薩隅方言(薩摩方言と大隅方言を総称した方言)の歴史的なアスペクトを明らかにすることである。対象とする時代は、主として18世紀前半から現代に至るまでである。日本語(=鹿児島方言)訳と、対応するロシア語動詞の意味から、アスペクトを担っていると思われる諸形式の意味を明らかにした。その結果は次の通りである。 (1)「テオル」は既然態に類する状態を表す形式である。これは、同時代の中央語「テイル」と比較して文法化の進んだ形式である。 また、ロシア資料には一見「テオル」によく類似した形式「チョル」「トル」も見られる。これらについて鹿児島方言訳の振る舞いも考慮してどのような形式であるかを考察した結果、次のことがわかった。 (3)「チョル」は「テオル」と同一の意味を持つアスペクト形式であり、語形のバリエーションである。 (4)「トル」に関してはアスペクト形式ではなく、「完遂」を表す複合動詞後項であり、「~し終わる」という意味を担う形式である。 (5)「トル」は、若干現代鹿児島方言とは接続する動詞が異なるが、現代方言にも一部見られる、現代につながるものである。 また、資料に見えるシヨル系統の形式は、少なくとも反復習慣の意味は持っていることがわかった。これは現代鹿児島方言と類似しており、現代につながるものとみられる。 つまり、18世紀前半の時点で、すでに現代と同じアスペクト的意味を担う形式が出揃っていたことがわかる。これまで、方言における歴史的なアスペクト形式の意味機能は、資料の不足から明らかにされてこなったのだが、本研究によってそれが明らかになった。
主題
この書誌の出所
- cinii— 1040282257463923712(2026-08-12取得)
引用キー: 久保薗薩隅方言の史的アスペ