論文 ·日本語 ·未確認
関係性対概念(ROC)は意味の最小単位である
- 刊行年
- 2026-06-23
- 出版
- Jxiv, JST Preprint Server
- crid
- 2070871613200284288
- uri
- https://jxiv.jst.go.jp/index.php/jxiv/preprint/download/4258/9565
- doi
- 10.51094/jxiv.4258
- URL
- https://cir.nii.ac.jp/crid/2070871613200284288
要旨
<p>本研究は、物理学におけるエネルギー概念がいかにして因果的意味を獲得するのかという問題を、自然言語の意味構造の観点から再検討するものである。本稿でいう因果的意味とは、出来事や量が単に記述されることによって与えられるのではなく、「誰から誰へ」「何が何に作用するのか」という方向性をもつ関係として理解されるときに成立する意味構造をさす。因果的意味は対称の属性として内在するのではなく、相互作用の内部において役割と方向性が確立することによって生成される関係的意味である。</p> <p> エネルギーは物理学において保存量として厳密に定義される一方、その理解はしばしば状態量や結果の記述にとどまり、相互作用に伴う因果的意味が不透明になることが指摘されてきた。本稿では、日本語の授受表現に見られる「出す/もらう」「する/される」といった相補的対構造に着目し、意味が単独の概念や一方的関係によってではなく、方向性をもつ関係の対として成立することを示す分析枠組みとして、関係性対概念(ROC)を提示する。</p> <p> ROCは、エネルギー移動を主体-客体の関係として再構成することにより、エネルギーを静的な量ではなく、相互作用の過程として因果的に意味づけるための視座を与えている。また、ROCが具体的文脈において、どのように意味形成を支えるかを示すために、物理教育における記述例を補助的資料として分析した。ただし、これらの事例は教育的効果の検証を目的とするものではなく、ROCが意味の最小単位としての対構造をいかに可視化しうるかを示すための理論的補助線として位置づけられる。</p> <p> 以上より、本研究は、科学概念の理論を表象の正確さや操作的有効性の問題としてではなく、意味がいかに構成され、因果的に安定化されるのかという意味論的・認識論的問題として再定位する試みである。本研究で提案した関係性対概念(Relational Oppositive Concept:ROC)は、特定言語に普遍的に適用される理論であることを主張するものではなく、日本語の表現構造を手がかりとして、意味生成が関係の対構造によって成立するという点に関する構造的適用可能性を示す分析的枠組みとして位置づけられる。</p>
主題
この書誌の出所
- cinii— 2070871613200284288(2026-08-12取得)
引用キー: 五味川2026関係性対概念ROCは