論文 ·日本語 ·未確認
事象複数性と述語構造の理論的・通言語的研究
- crid
- 1040282257464620288
- kaken
- 10J04831
- jgn
- JP10J04831
- uri
- https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10J04831/
- URL
- https://cir.nii.ac.jp/crid/1040282257464620288
要旨
特別研究員最終年度である本年度は、本研究のまとめとして初年度よりフィールド調査を行ってきた与那国語の文法書執筆を重点的に行った。本年度も沖縄県八重山郡与那国町でフィールド調査を約二か月間行い、三年間のまとめとして執筆した与那国語の簡易文法がMouton de Gruyterより出版予定のHandbook of Ryukyuan Languagesに採録される。また簡易文法と合わせてフィールド調査で得た自然談話資料も出版した。実際の言語使用状況を報告した報告書と合わせて、与那国語の全体像を概観することが可能となった。さらに、本研究で行う理論言語学的研究の中核をなす述語構造の研究として、与那国語の動詞形態論をまとめ、日本語の相互動作を表す動詞句要素の意味論的分析を発表した。 本研究のまとめとして執筆した与那国語簡易文法は、与那国語を一つの言語体系として正確にとらえ、その音声、音韻論、形態論、統語論的側面を体系的に記述し、これまでの部分的な記述とは一線を画する記述文法とすることができた。与那国語は消滅の危機に瀕した言語であり、これまで採録した自然談話資料の一部とUNESCOの言語の消滅危機頻度判定基準に基づいた言語使用状況の調査報告を出版できたことも一つの成果である。また、理論言語学と言語心理学的実験の手法をフィールド調査に応用し、これまでの研究では調査対象にならなかった現象のデータ収集も行うことができた。さらに言語の全体像をとらえることが目的の簡易文法では十分な分析を与えることができない現象の研究の一つとして、日本語および琉球諸語の中でおそらく最も複雑な体系を持つと思われる与那国語動詞形態論の分析を行った。動詞形態論の完全な記述は与那国語理解、特に世代間継承が途絶えている世代が学習者として用いる資料の中核をなす記述であり、今後の与那国語・琉球諸語や日本語との比較研究のみならず、危機言語の保存と継承・再活性化といった問題に取り組むにあたっても、重要な成果である。
主題
この書誌の出所
- cinii— 1040282257464620288(2026-08-12取得)
引用キー: 山田事象複数性と述語構造