論文 ·日本語 ·未確認
日本・インドネシアにおける民族文化の伝統と変容 ーー口頭伝承の構造と機能ーー
崎山 理 ・ ナギブ ライフ ・ ラハルジョ ワニー ・ アンワル エティ・ヌルハ ・ エルウ゛ァン バストミ ・ ダナンジャヤ ジェイムス ・ マシナンボウ E.K.M ・ スマディオ バンバン ・ マゲトサリ ヌルハディ ・ 鏡味 治也 ・ 山下 晋司 ・ 佐藤 浩司 ・ 杉島 敬志 ・ 吉本 忍 ・ 吉田 集而 ・ 田中 琢 ・ 大林 太良 ・ 佐々木 高明 ・ MAGETSARI Noerhadi ・ MIGAKU Tanaka ・ ANWAR Etty Noerhayati ・ SUMADIO Bambang ・ ERVAN Bastomi ・ DANANDJAJA James ・ RAHARJO Wanny
- crid
- 1040000770874770560
- kaken
- 01044153
- jgn
- JP01044153
- uri
- https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-01044153/
- URL
- https://cir.nii.ac.jp/crid/1040000770874770560
要旨
本共同研究は、日本とインドネシア両国間の学術的レベルでの文化交流を一層推進すべきであるという、(元)日本国文部大臣塩川正十郎氏とインドネシア教育文化大臣ファド・ハッサン氏との意向を受け、昭和62年度の予備的調査から始まり、昭和63年から平成3年までの3年間の継続研究として開始された。また本共同研究を具体的に運営し遂行するために組織委員会が両国で設けられ、研究調整と毎年、開催されるセミナ-の準備に当った。 また昭和63年7月26日、ジャカルタ市で日本側、国立民族学博物館館長(代行)、インドネシア側、教育文化省文化総局長官との間で研究の実施を円滑に進めるため「日本・インドネシア民族文化比較研究のための共同研究に関する同意書」を作成し署名し合った。 3年間の長期的研究課題としては、口頭伝承の歴史研究、比較研究によって日本・インドネシアの比較文化論を行うこととし、毎年セミナ-での発表にむけて、両国の研究者が相互に相手国を訪問して準備のための文献調査とフィ-ルドワ-クを行った。 口頭伝承の研究分野においてこれまで個々の研究者が地域ごとの研究成果を個別に著わしてきたが、それら個々の成果を比較し総括するような共同研究は、国外の研究者との間でのみならず、国内の研究者の間においても行われていないのが現状である。それぞれの口頭伝承における特徴を、多角的総合的に分析することにより、日本とインドネシアの、より精密で体系的な比較研究を進めることを究極的な目標とした。 この研究目的のために3年間にインドネシアから国立民族学博物館の外来研究員として訪日した研究者は延べ25名、また日本からインドネシアに渡航した研究者は延べ18名に達した。 第1回セミナ-は、昭和63年9月5・6日に「日本・インドネシアの比較文化ー口頭伝承をめぐって」と題し、日本側3名インドネシア側5名、計8名による研究発表と質疑応答が行われた。そして共通の話題としては1)口頭伝承を歴史の再構成にいかに利用し得るか、2)口頭伝承は社会においていかに変貌するか、3)口頭伝承は社会においていかに機能するか、の諸点が論じられた。 第2回セミナ-は、平成元年9月5・6日に「日本・インドネシア比較文化の諸相」と題し、日本側4名インドネシア側5名、計9名による研究発表と質疑応答が行われた。そして共通の話題としては1)口頭伝承と歴史記述との関係、2)国家的伝統の発展にたいする土着の口頭伝承を含む伝統文化の役割、3)民間伝承と国家神話との関係、の諸点が論じられた。 第3回セミナ-は、平成3年2月26・27日に「日本・インドネシアの文化的伝統」と題し、日本側5名インドネシア側6名、計11名による研究発表と質疑応答が行われた。最終回だけあって、発表者数、発表とも盛り上がりこれまでの2回のセミナ-で得られた問題点を整理しつつ、より広い視点から口頭伝承に基く比較研究の成果が披露された。その共通の話題としては1)現代社会における伝統文化とその変容、2)日本・インドネシアの文化比較の方法、がとくに論じられた。 これまでインドネシア側からは、従来の日本人を含む外国人によるインドネシアを対象とした一方的な海外学術調査は、インドネシアになんの恩恵ももたらしていないという不満が表明されていた。本共同研究は、そのような従来の「不健全な関係」(元インドネシア国立科学院院長モフタル・ブホリ博士の言葉)を改善するための第一歩としては十分に機能し得たと考える。とくに、さまざまの分野の学者たちと、たんに学術面でのみならず人的面で交流を深め合ったことは、将来、両国間であらたな理念をもった共同研究を遂行するための足がかりとなるであろう。またセミナ-の発表、質疑応答がすべてインドネシア語で行われたことも、インドネシア側に日本人のインドネシア研究の層の厚さを再認識させた。 最後に、インドネシア側からは、回を重ねるごとに参加者もリラックスし和やかな雰囲気のなかで充実した発表と討議の行われたこのセミナ-が、今回で終了するのを惜しむ声も聞かれたことを付記しておきたい。
主題
この書誌の出所
- cinii— 1040000770874770560(2026-08-13取得)
引用キー: 崎山日本インドネシアにお