論文 ·日本語 ·未確認
日・露共同言語類型論研究
柴谷 方良 ・ TESTELEC Y. ・ NEDJALLCOV I ・ MASLOVA E. ・ SOLRTSEV V. ・ NEDJALKOV V. ・ PODLESSKAYA ブイ. ・ KULIKOV L. ・ MURAVYEVA I. ・ ALPATOV V. ・ 角田 太作 ・ 崎山 理 ・ 宮岡 伯人 ・ 土田 滋 ・ TSUNODA T. ・ TSUCHIDA S. ・ NISHIMITSU Y. ・ 松本 克己 ・ 小泉 保 ・ 金水 敏 ・ 西光 義弘 ・ E.MASLAVA ・ V.NEDJALKOV ・ I.NEDJALKOV ・ Y.TESTLEC ・ T.YANKO ・ L.KULIKOV ・ I.MURAVYOVA ・ V.PODLESSKAY ・ V.ALPATOV
- crid
- 1040000781606906624
- kaken
- 05044007
- jgn
- JP05044007
- uri
- https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05044007/
- URL
- https://cir.nii.ac.jp/crid/1040000781606906624
要旨
本年度は、言語資料については、日本で入手困難なシベリア地方の言語を中心に資料収集ならびに分析・検討を進め、一方理論的考察では、題目構文ならびに動詞結合価の増減につて研究を行った。 まず、資料面では1994年9月に日本側研究員5名をモスクワおよびサンクト・ペテルブルクに派遣し、エヴェンキ語・エヴェン語を中心にツングース諸語ならびに、ユカギル語、チュクチ語の資料収集を行った。前者では、動詞の豊かな接尾辞と動詞結合価の観点から、また後者では抱合現象の観点から資料の収集を行うとともに、モスクワ、サンクト・ペテルブルク両都市において公開シンポジウムを開き、日本側研究員による研究発表を行った。以上の作業を踏まえ、1995年1月にはロシア側研究員が3名来日し、理論的観点からの共同研究を行った。 本共同研究最終年度である本年は、特に理論面での研究の促進ならびに成果の収集および公開にむけての努力が払われた。まず、日本語の「は」の用法に代表される題目構文については、統語・意味・語用論という綜合的角度から類型化が目論まれ、共同研究員であるElena Maslovaを中心に研究論文"An approach to typology of sentence toics"としてまとめ、刊行の準備を行っている。 動詞結合価の増減についての研究では、三方向への展開が見られた。まず、ツングース諸語を中心にした、使役接辞とその受動的用法についての研究。相互態による結合価減の現象、そして受益価による結合価増の現象である。 一般的に受動形式の発達は統語面での結合価の減少を伴い、中相(middle voice)による自動詞化の拡張的な現象であるが、一方では結合価を増やす役割のある使役形式から派生する状況がツングース諸語には広く見られる。後者においても、受動化と自動詞化の区別がつかない状況が多いが、チュルク諸語では使役->受動の変化が見られるが、自動詞化の起こっていない状況があり、使役からの展開では、使役->受動->自動詞化という過程をたどることが確認された。 いずれにしても、過去の態の研究では他動詞を中心とした、意味レベルでは結合価の増減が見られない現象を中心に取り扱われてきたが、本研究から態の研究はより広く、かたや使役構文そして他方では自動詞構文を射程に入れた研究が要求されるということが判明した。 相互態ならびに受益構文については、特に後者において興味深い理論的展開がみられた。一般的に受益構文は受益者を新たに導入する結合価増の現象と見られているが、どのような動詞についても受益構文が成立する訳ではなく、特に自動詞では一般的に受益構文が成立しない。また、他動詞をベースにしたものでも、物の移動を伴わないような状況では受益化がおこらない。このことから、受益化による結合価増は機械的に起こるのではなく、ある意味的な規制を受けていることが判明した。 つまり、受益構文が表す状況は基本的授受動詞「やる」で言い表せるような物の移動が関与している状況でないといけないと言うことであるが、これは受益構文の多くが現実に「やる」に相当する動詞を助動詞または接辞として使用していると言う事実からもうなずけることである。この点を踏まえた授受動詞の文法化(grammaticalization)という観点からの理論的展開が見られた。 相互態ならびに受益構文の研究成果は、研究代表者柴谷方良、共同研究者Vladmir P.Nedjalkov 同 Vladmir M.Alpatovを中心に、いずれBerlin Lincom Europe社のTyplogy of grammatical categoriesというシリーズから刊行すべく整理・編纂作業がすすめられている。
主題
この書誌の出所
- cinii— 1040000781606906624(2026-08-13取得)
引用キー: 柴谷日露共同言語類型論研