報告 ·日本語 ·未確認
明治初期語彙の文体差と意味的特徴 -文化・歴史・風俗・禍福の語彙を例に-
- crid
- 2120307889978124928
- hdl
- http://hdl.handle.net/10291/0002002125
- uri
- https://meiji.repo.nii.ac.jp/records/2002125
- URL
- https://cir.nii.ac.jp/crid/2120307889978124928
要旨
語彙史研究の視点の一つに、語彙の文体差がどのように形成され、その背景にどのような事情があったかという点があげられる。この観点での著名な先行研究に、平安時代の和文資料(貴族の口語に基づく和文体による)の語彙と訓点資料(漢文訓読体という文語体による)の語彙とを比較して、和文語彙と訓読語彙との差異を明らかにした築島(1964)と、それに影響を受けて行われた平安・鎌倉時代の多くの語彙研究があげられる。ほかの時代の口語語彙と文語語彙の差異を探った研究に、室町時代の狂言資料と謡曲資料の語彙を比較した、柳田(1991)などが指摘できる。こうした、同時代の口語体質料と文語体資料の語彙を比較し、それぞれに特徴的な語彙を抽出することは、近年整備されてきている、単語情報が付与されたコーパスを用いることで、体系的に行うことが可能になってきていると考えられる。国立国語研究所編「日本語歴史コーパス」は、口語体資料が優先的にコーパス化されているが、一部に文語体資料も多く含まれている時代があり、そうした時代では、上記のような比較と抽出を行うことができる。筆者は、その一つである「鎌倉時代編」の「説話・随筆」に含まれる「今昔物語集」の和文体で書かれた巻と漢文訓読体で書かれた巻の語彙を比較することで、語彙の文体差を明らかにする試みを行った(田中2015、2022)。そこでは、語彙の文体差には、対立が明瞭なものから、多少の差異がある程度のものまで、多様な段階があること、文体差の背景には意味的な特徴があることなどを述べた。和文語彙と訓読語彙との同義語対に意味の違いが認められることは、関(1993)でも論じられている。また、先に引いた柳田(1991)にも、文体差のある同義語対に意味差が伴っていることへの言及がある。文体差の背景を探るには意味的な特徴への着眼が必要と考える。
この書誌の出所
- cinii— 2120307889978124928(2026-08-13取得)
引用キー: 田中明治初期語彙の文体差