論文 ·日本語 ·未確認

中世末期日本語の基本形について : 終止法で現在の状態を表している場合を中心に

福嶋 健伸

刊行年
2000-09-30
収録
『國語學』 51(2) pp. 165-166
出版
日本語学会
言語
日本語
crid
1573950401843516800
naid
110002533639
issn
04913337
ndl_bib
R100000136-I1573950401843516800
URL
https://cir.nii.ac.jp/crid/1573950401843516800

要旨

本発表では,まず,中世末期日本語の動詞基本形について,同時代の〜テイル・〜テアルと関連させた上で,アスペクト的観点から考察を行い,(1)のような傾向を指摘し,(2)のようにその傾向の背景を考察する。(1)中世末期日本語の〜テイル・〜テアルが終止法で,現在の動的な動作継続を表している例は少ない。一方,基本形が,〜テイル・〜テアルでは例が少ない現在の動的な動作継続を,主に表している。(「動的な動作継続」とは,「折っている」「走っている」等のように,副詞「ゆっくり」をつけたときに,具体的な動きが遅いという解釈が可能な動作継続のこと)(2)動作継続を表している状態の中にも,存在文との近さに関して程度差があり,全体的な傾向として,動的な動作継続は,より存在文的意味から遠いと考えられる。中世末期日本語の〜テイル・〜テアルは,存在動詞イル・アルの意味が現代日本語に比べて強く残っているため,より存在文的意味から遠い動的な動作継続を表しにくかった。そのため,基本形が前の時代に引き続き,動的な動作継続を表していた。次に,中世末期日本語の基本形と同様に,この時代の〜タも,〜テイル・〜テアルでは表しにくかった存在文的ではない状態を表していたことに言及し,中世末期日本語の〜テイル・〜テアル,〜タ,基本形の関係を(3)のように把握する。(3)中世末期日本語の〜テイル・〜テアルは,存在動詞イル・アルの意味が現代日本語に比べて強く残っているため,アスペクト形式として相対的に不十分であり,その不十分さを基本形と〜タが補っていた。最後に,(3)を受けて,〜テイル・〜テアルは存在様態的な(存在文の表す状態に近い)例に偏り,一方,基本形と〜タは非存在様態的な例に偏ることを確認し,中世末期日本語で状態を表していた形式(〜テイル・〜テアル,基本形,〜タ)のこのような分布の偏りを統一的に記述する際には,「存在様態」という概念が有効であることを主張する。

この書誌の出所

  • cinii— 1573950401843516800(2026-08-12取得)
  • ndl— R100000136-I1573950401843516800(2026-08-12取得)

引用キー: 福嶋2000中世末期日本語の基本

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