論文 ·日本語 ·未確認

悉曇連聲説

蛭沼 芽衣

crid
1040000782491940352
kaken
11J04498
jgn
JP11J04498
uri
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11J04498/
URL
https://cir.nii.ac.jp/crid/1040000782491940352

要旨

本研究の目的は、日本語学でいわれるところの「連声」と、悉曇学にみられる「連声」との関係を詳しく探ることにある。悉曇学は仏教界にて発達したサンスクリット語学である。しかし、悉曇学は経典研究だけではなく、国語研究にも大きく影響を与えている。そこで「連声」という現象・用語を中心に、悉曇学の本質を詳しく調べることで、日本語の研究の一端を担えるものである。 本年度は、昨年度に引き続き資料の収集を行うと共に、これらに現れる「連声」および「音便」について考察を行った。 まず悉曇学における「連声」とは、悉曇文字(梵字)とその音訳漢字との関係を説明したものである。これには二種類の学説が存する。一つは「四種連声」、もう一つは「二種連声」と呼ばれる体系である。四種連声は平安時代から続くものであるが、二種連声は、鎌倉末期に現れたものであると考えられる。二種連声が現れるより少し前に、四種連声のうちの二つのみで連声を説明しているものがある。この二つは、後に二種連声と対応すると考えられているものである。このことから、二種連声とはそれ単独で成立したのではなく、四種連声という体系の上に、用語を置き換える形で成立したものであると考えられる。 また、悉曇学には連声の下位区分として、「音便(穏便)」が存する。現在一般に「オンビン」といえば「音便」と表記するが、悉曇学ではかつて「穏便」と表記されていた。この「穏便」が「音便」と表記されるようになるのは、中世後期からである。一方で「音便」という語自体は「穏便」より早く現れている。この時点での意味は「音の便宜」である。これが「穏便」にとって変わることができたのは、先行研究で指摘されている、(1)ヲとオの混同や(2)学術的な印象が強いといった要因の他に、「音便」という語の意味が拡大していったためであると考えられる。また、先に述べた二種連声の成立とも関係しているのではないかと考えた。四種連声の体系下では「穏便」と表記し、「音便」は専ら二種連声の体系下で用いられているようであるからである。既存の四種連声に対して、二種連声という新たな学説を唱えるにあたり、「穏便」にも新たな価値を与えるといった意味で「音便」を使用したと思われる。さらに近世において広く流布した悉曇学書や国学書などが「音便」という表記を使用したため、現代、国語学において「音便」表記が一般的になってものと推測した。

主題

この書誌の出所

  • cinii— 1040000782491940352(2026-08-12取得)

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