論文 ·日本語 ·未確認
近代における和語の表記の変遷
- crid
- 1040282256937628544
- kaken
- 17J03579
- jgn
- JP17J03579
- uri
- https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17J03579/
- URL
- https://cir.nii.ac.jp/crid/1040282256937628544
要旨
今年度は近代においてその語に最も多く使用される表記(主要表記)が交代する現象を中心に,近代語の雑誌コーパスを用いて調査を進めた。例えば,カワルという語は明治中期の段階では「代」が主要表記であったが,時代が下るにつれて「變」が勢力を増して交代する変化が見られた。このような語を網羅的に取り上げ,意味分析と用例分析からその要因を考察した。 その結果,次のことがわかった。 ①近代において主要表記が交代する動詞は,259語中38語(14.8%)であった。 ②主要表記が交代する語には,語の意味の勢力図に変容が見られ,明治期,大正期,昭和前期にかけて主要な意味が交代する現象が確認できた。 ③それぞれの意味には結びつきの強い表記があり,主要な意味が交代することで,それに連動して結びつきの強い表記も増減・交代することが確認できた。 ④近代における主要表記の交代する現象の要因は,語の主要な意味の交代であり,この傾向は主要表記が交代する38語中34語に見られた。 ⑤上記のことから,和語の意味と表記には強い結びつきがあり,近代を通して,意味によって表記を選択していたことがわかった。 本研究で行ったようなコーパスによる実証的な用例分析によって,語の意味の変化と連動していることが明らかになり,近代の和語においては,意味と表記には強い結びつきがあることがわかった。常用漢字表のような影響力の強い国語政策が施策される前の近代,これまで表記にはゆれがあると考えられてきた近代にあっても,意味と表記に強い結びつきがあることが実証されたことは,近代語の表記の原則・メカニズムの解明に迫る一歩となったと考えられる。
主題
この書誌の出所
- cinii— 1040282256937628544(2026-08-13取得)
引用キー: 高橋近代における和語の表